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女ブリーダー〝仰天供述〟

犬161匹を虐待した43歳・女ブリーダー〝仰天供述〟

「すべて見分けが付いています。それぞれの家族構成も分かっているんです」。
161匹の犬を飼い、不衛生な環境下に置いて餌を与えず虐待したとして、大阪府警に動物愛護法違反などの容疑で逮捕された大阪府和泉市の元ブリーダーの女(43)はこう供述しているという。
「犬は家族だ」と飼い犬に異様なまでの愛情を示しながら、飼育していた一戸建ての自宅にはゴミが散乱し、犬の死骸も放置されるなど極めて劣悪な環境だった。
鳴き声と悪臭に悩まされ続けてきた近隣住民は「やっと静かな暮らしを取り戻せる」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 防毒マスクで捜索

年も押し迫った11月21日、一戸建てが並ぶ静かな住宅街の一角に、動物輸送用トラック3台とともに、大阪府警の捜査員と大阪府の職員計約50人の「捜索隊」が突然現れた。
近隣住民が見守る中、50人は「犬屋敷」と呼ばれる2階建ての民家に次々と入っていった。

4LDKの民家には女と母親の2人とともに何匹いるか分からない犬が暮らしていた。
50人は悪臭を想定しマスクを着用していたが、家の中は想像をはるかに超える状態だった。

室内で放し飼いにされ走り回る犬は80匹以上。
さらにあちこちに40個以上のイヌ用のカゴが置かれ、その中に60匹以上の犬が入れられていた。
足の踏み場はなく、段ボール箱には一部ミイラ化した17匹の死骸もあった。

捜査員らは悪臭に絶えられず、すぐに防毒マスクに交換。
思わぬ「侵入者」に向かってほえる犬たちを捕まえ、用意してきたかごに入れていった。

一方、府の職員は片付け作業に追われた。
犬の糞(ふん)尿を処理するために使われた大量の古新聞、寝床として敷かれていたとみられる段ボールを搬出。
こうしたゴミはなんと2トントラック5台分に上った。

結局、家から運び出された犬は161匹。
148匹がミニチュアダックスフンドで、このほかにチワワ、ビーグル、フレンチブルドッグ、ゴールデンレトリバー、バーニーズマウンテンドッグ…。みんなあばら骨が浮き出るほどの栄養失調状態だった。

近所の40代の主婦は絶句した。
「どんなに多くても30匹程度しかいないと思っていた。あの広さで160匹も飼っていたとは…」

女は府警の調べにこんな驚きの事実も供述した。
「電気とガスは止められていたが、冬場は糞尿が発酵し、部屋がむーっとするので温かかった」。
普段はリビングで就寝していたというが、室内にはかごが積み上げられており、捜査員は「足の踏み場はなく、どうやって寝ていたのか想像できない」と話す。


 鳴き声、悪臭に苦情相次ぐ

女は平成19年に動物販売業の届け出を行っており、当初は犬20匹程度を飼育、インターネットなどで販売していた。
業績は順調で、週末になると、遠方のナンバーの車が訪れ、犬を引き取っていく姿もよくみられたという。

しかし、ミニチュアダックスフンドのブームに陰りが見え始めると業績が悪化。
府によると、今回保護された犬の大半が繁殖ではなく仕入れた犬だったことから、犬が売れなくなったため飼育数だけが増えていったようだ。

犬の増加に伴い、鳴き声や悪臭をめぐるトラブルが多発、大阪府や和泉市などに近隣住民から苦情が殺到するように。
府は平成20年6月以降に計57回、犬の飼育数を減らすよう口頭で女に指導したが、女は「犬はモノではなく家族。
絶対に譲渡しない」などと主張し、聞く耳を持たなかったという。

次第に女は府職員の立ち入りを拒むようになり、府は今年11月、府動物の愛護および管理に関する条例違反容疑で大阪府警に告発した。

近くの主婦は「1匹が鳴き始めると、他の犬もつられて鳴き始める。昼夜を問わず鳴き、夏に窓を開けていると電話の呼び鈴も聞こえなくなるほどの騒音だった」とあきれる。

住民男性は「あの家の窓が一旦開くと、糞や尿の悪臭が風に乗って一気に広がった。本当に迷惑だった」と話し、女が逮捕されたことについては「これで静かな暮らしが戻るだろう」とほっとした様子だった。


 犬への深い愛情も

「161匹は全部見分けが付くし、それぞれの家族構成も分かる」

逮捕された女は、府警の調べにこう供述し、飼育していた犬への深い愛情を示していた。
また、「餌を与えなかったことはない」と虐待については否認しているという。

犬を引き取られた後、逮捕されるまでの間に自宅近くを歩いていた女の姿を見たという女性は「いつもより元気がないというか、どこか寂しそうな感じがした。犬がいなくなり、落ち込んでいたのではないか」と話す。

一方、こうした女の言動に疑問を呈する声もある。

動物の虐待防止活動に取り組む公益社団法人日本動物福祉協会(東京都)の山口千津子・獣医師調査員は「本当に愛しいと思うのであれば、食事や衛生環境など、動物のニーズを満たした上で好きだというべきだ。
それができないのは虐待と変わらない」と指摘。
行政指導に関わった府の職員は「愛情があるといえども、飼い方が劣悪なのは事実。
本当に犬の気持ちを思うのであれば、積極的に同業者に譲っていくなど、飼育数を減らしていく努力ができたのではないか」と憤る。


 「次こそは幸せに」、第三者に譲渡の可能性

女の家から引き取られた犬は現在、府犬管理指導所(大阪市)など3カ所で保護されている。
約10匹が死に、残った約150匹も依然、健康状態は改善されていないという。
このうち、衰弱が激しい約10匹は動物病院に入院した。

「どうやったらイヌを譲ってもらえるのか」「処分されるような可能性はあるのか」

女の逮捕が新聞やテレビで報道された後、府動物愛護畜産課や和泉市にはこのような内容の電話が約20件相次いでいるという。

府は、犬の処分は考えておらず、健康状態を回復させた上で第三者への譲渡を検討している。
しかし譲渡には、女が犬の所有権を放棄することが前提。
府警によると、女は20日、所有権の放棄に同意したといい、犬は引き取りを希望する人に譲渡される可能性は高まっている。

「次こそは大切に育ててもらえる人に巡り合ってほしいね」。
府の職員は願いを込めた。

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「犬屋敷」から保護されたダックスフント。
やせてあばらが浮き、毛並みも悪い=大阪市東成区

       産経ニュース 2012.12.24


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